新規事業の課題設定とは?顧客が本当に困っていることを見つける方法
・新規事業の課題設定では、思いついた商品やサービスから考えるのではなく、顧客が抱えている問題とその背景を理解することが重要だ。
・顧客の発言をそのまま課題と捉えず、行動や発生頻度、困りごとの大きさを確認しながら、解決する価値のある課題かを見極める必要がある。
新規事業のアイデアを考えるとき、「どのようなサービスを作るか」「どのような機能があれば便利か」といった解決策から検討を始めてしまうことがあります。
しかし、魅力的に見えるアイデアであっても、顧客が強く感じている課題と結びついていなければ、実際には利用されない可能性があります。
新規事業では、解決策を考える前に「誰が、どのような状況で、何に困っているのか」を整理することが重要です。
課題設定とは、単に顧客の困りごとを見つけることではなく、事業として向き合うべき問題を明確にすることです。
本記事では、新規事業における課題設定の基本と、顧客が本当に困っていることを見極めるための考え方を解説します。
新規事業における「課題設定」とは
新規事業における課題設定とは、顧客が抱えている問題を理解し、その中から自社が解決を目指す課題を明確にすることです。
ここで重要なのは、「顧客に困りごとがある」というだけでは十分ではないという点です。
例えば、企業の担当者から「資料作成に時間がかかる」という話を聞いたとします。
これだけを見ると、資料作成を効率化するサービスが必要だと考えるかもしれません。
しかし、詳しく確認すると、時間がかかっている原因は資料作成そのものではなく、必要なデータが複数の部署に分散していることかもしれません。
あるいは、上司によって求められる資料の形式が違い、毎回作り直しが発生している可能性もあります。
同じ「資料作成に時間がかかる」という困りごとでも、その背景によって解決すべき課題は変わります。
表面的な言葉だけではなく、その問題が起きている状況まで理解することが課題設定の第一歩です。
解決策から考え始めると課題を見失いやすい
新規事業では、社内の技術やアイデアを起点に企画が始まることもあります。
「この技術を使って新しいサービスを作れないか」「AIを活用した事業を立ち上げたい」といったケースです。
技術やアイデアを起点にすること自体が問題なのではありません。
注意したいのは、作りたいものが先に決まることで、それを必要とする課題を後から探してしまうことです。
例えば、「AIを使った営業支援サービスを作る」と決めた後に顧客へヒアリングすると、AIで解決できそうな発言ばかりに注目してしまう可能性があります。
本来は別の方法で解決した方がよい課題であっても、自社のアイデアに合わせて解釈してしまうことがあります。
「何を作れるか」ではなく、「顧客のどの問題を解決するのか」を先に整理することで、解決策ありきの判断を防ぎやすくなります。
顧客の「要望」をそのまま課題にしない
顧客へのヒアリングでは、「こんな機能が欲しい」「こういうサービスがあれば便利」といった要望が出てくることがあります。
こうした意見は重要な情報ですが、そのまま顧客課題として扱うのは注意が必要です。
例えば、「データを自動でExcelに出力できる機能が欲しい」という要望があったとします。
ここで「Excel出力機能がないこと」を課題と捉えると、すぐに機能開発の話になってしまいます。
しかし、なぜExcelに出力したいのかを確認すると、「毎月の報告資料を作るために、複数のシステムから数字を転記している」という背景があるかもしれません。
この場合、本当に解決すべき問題はExcel出力そのものではなく、報告資料を作成するための転記作業に時間がかかっていることだと考えられます。
顧客の要望は、課題を理解するための手掛かりです。
要望の背景にある行動や目的まで確認することで、より本質的な課題が見えてきます。
「なぜ困っているのか」を掘り下げる
顧客課題を理解するためには、困りごとが発生している背景を掘り下げる必要があります。
その際は、顧客が感じている不満だけでなく、実際の行動にも注目します。
例えば、次のような視点で確認します。
・どのような場面で問題が発生しているのか
・どのくらいの頻度で発生しているのか
・現在はどのような方法で対処しているのか
・解決できないことで、どのような損失や不便が生じているのか
特に注目したいのが、顧客がすでに行っている対処です。
時間や費用をかけて別の方法で対応しているのであれば、その課題を解決したいというニーズが存在する可能性があります。
一方、「困っている」と話していても、特に対処しておらず、解決する必要性も感じていないのであれば、優先度はそれほど高くない可能性があります。
「困っている」だけでは事業になるとは限らない
顧客から課題を聞き出せたとしても、それだけで新規事業のテーマとして適しているとは限りません。
世の中には多くの不便や不満がありますが、すべてに対して顧客がお金や時間を使って解決したいと考えているわけではないからです。
そこで、課題を見つけた後には、その強さを確認する必要があります。
例えば、
・同じ課題を抱えている顧客が一定数存在するか
・課題が繰り返し発生しているか
・放置した場合の影響が大きいか
・すでに時間や費用を使って対処しているか
などを確認します。
事業につながる課題を見極めるには、「困っているか」だけではなく、「どれほど解決したい問題なのか」を確認することが重要です。
一人の顧客から強い要望があったとしても、それが特殊な事情によるものかもしれません。
複数の顧客へのヒアリングや市場調査を通じて、同じ課題がどの程度存在するのかを確認していきます。
課題は「誰の・いつの・何が」で整理する
顧客課題が見えてきたら、できるだけ具体的な形で整理します。
「業務を効率化したい」「営業活動が大変」といった表現だけでは、対象となる範囲が広すぎるためです。
例えば、「営業が大変」という課題であれば、「新規事業の営業担当者が、初めて接点を持つ企業へのアプローチ先を選定するときに、判断材料がなく時間がかかっている」のように整理できます。
誰が困っているのか。
どのような場面で発生するのか。
具体的に何が問題なのか。
この3点を整理することで、次に何を調査・検証すればよいのかも明確になります。
また、社内で新規事業について議論するときにも、メンバーごとに異なる課題を想定してしまう状態を防ぎやすくなります。
課題設定は一度決めたら終わりではない
初期のヒアリングや市場調査だけで、顧客課題を完全に理解することは難しいものです。
仮説を立てて顧客へ確認すると、想定していた課題とは違う問題が見えてくることもあります。
そのため、最初に設定した課題を絶対的な前提として扱う必要はありません。
顧客へのヒアリングや仮説検証、PoC、MVPなどを進める中で新しい事実が得られれば、課題設定も見直します。
「この顧客が困っているはずだ」という思い込みを証明するのではなく、「本当にこの課題が存在するのか」を確認する姿勢が重要です。
課題設定と検証を繰り返すことで、顧客が求める価値と事業の方向性を少しずつ近づけていきます。
まとめ
新規事業の課題設定では、顧客の発言や要望をそのまま課題として捉えるのではなく、その背景にある状況や行動を理解することが重要です。
顧客がいつ、どのような場面で困っているのか、現在どのように対処しているのかを確認することで、表面的な要望の奥にある問題が見えてきます。
また、課題が存在するだけで事業になるとは限りません。
発生頻度や影響の大きさ、現在の対処に使っている時間や費用などを確認し、顧客にとって解決する優先度が高い問題なのかを見極める必要があります。
課題設定を事業アイデアの前提として固定するのではなく、顧客から得られた情報に合わせて更新し続けることが、新規事業の精度を高めるポイントです。
エナジャイズでは、新規事業担当者が顧客の課題やその背景を整理し、次の検証や事業判断につなげるための支援を行っています。
顧客の課題をどのように整理すればよいか、どこから検証を始めるべきか迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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アポが取れない、営業に苦手意識がある
株式会社エナジャイズ代表取締役岡崎 史
プロフィール
大学卒業後、大手飲料グループを経て、40事業を超える新規事業の立ち上げを経験。その経験を活かし、2022年、PMFと顧客開拓を同時に実現する『PMFプログラム』を開発。
徹底的に顧客視点に立つ独自の手法で、年間2,000社の新規商談を生み出すなど新規事業推進のスペシャリスト。
大企業を中心に伴走支援、研修、講演等実績多数。




