新規事業開発ガイド:プロトタイピングを活用し、不確実性を味方にする方法

※本記事は新規事業開発に関する情報をまとめたものであり、弊社のコンサルティングにおいて必ずしも同様の内容をご提案するとは限りません。あくまで参考情報の一つとしてご覧ください。
「アイデアはあるけれど、社内でどう説明すればいいか分からない」
「資料だけ作っても上層部の理解が得られない」
「本当に顧客が使ってくれるのかを確かめる方法が分からない」
こうした悩みは、新規事業担当者にとってごく自然なものです。既存事業とは異なり、正解が定まらない新規事業の立ち上げでは、机上の計画だけでは前に進みにくいのが実情です。そこで有効なのが「プロトタイピング」というアプローチです。
プロトタイピングは、完成品をいきなり作るのではなく、最小限のモデルや試作品を用意し、顧客や関係者と早い段階で検証を重ねるプロセスです。本記事では、新規事業におけるプロトタイピングの意味、進め方、そして実務に落とし込むポイントを整理していきます。
プロトタイピングの目的は「正解を作ること」ではない
プロトタイピングと聞くと、製品の完成版に近い試作品を作るイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし新規事業においては、必ずしも精巧なものを作る必要はありません。重要なのは、「この仮説は正しいかどうか」を早期に検証することです。
例えば、顧客が本当に必要としているのは「アプリ」そのものなのか、それとも「問い合わせがすぐに解決される仕組み」なのか。紙のモックや簡易的な画面イメージだけでも、ユーザーの反応を見れば仮説の妥当性を確認できます。
新規事業でプロトタイピングを活用するメリット
プロトタイピングを取り入れることで得られる利点は大きく3つあります。
- 検証スピードの向上
資料ベースで議論するよりも、具体的な形を見せた方が判断が速い。
- 社内外の合意形成がしやすくなる
抽象的な説明より、実物イメージの方が上層部や顧客の理解を得やすい。
- 失敗のコストを最小化できる
大きな投資をする前に小さく試すことで、方向性の誤りを早期に修正できる。
このように、プロトタイピングは「作ること」よりも「確かめること」に重きを置く点が特徴です。
実務で使えるプロトタイピング事例
理解を深めやすいように、代表的なプロトタイピングの事例をいくつか挙げます。
- 紙モックによるUX検証
新しい業務支援アプリを企画したチームが、実際の画面遷移を紙に描いて顧客に見せたケース。顧客がどこで迷うかを観察し、機能設計を大幅に見直すことができました。
- ノーコードツールでの仮想サービス提供
EC関連の新規事業では、ノーコードで簡単なLPを作り、仮の申込フォームを設置。実際にどれだけの顧客が関心を持つかを数値で把握し、事業計画の根拠としました。
- 社内テストによる検証
外部顧客に出す前に、まず社内メンバー10名に限定公開。短期間でフィードバックを集め、最初のつまずきを早期に潰したことで、本番リリース後のクレームを最小化しました。
これらはいずれも「完璧な試作品」を作る必要はなく、検証に必要な最小限の形でスタートしています。
プロトタイピングはどのように進めればよいか
プロトタイピングは、段階を踏んで進めるとスムーズです。
- 検証したい仮説を明確にする
「この機能があれば顧客は使いたいと思うか?」といった問いを設定する。
- 最小限の形に落とし込む
紙のスケッチ、スライド資料、ノーコードツールなど、必要最低限の形式でよい。
- 実際に顧客や関係者に見せる
短時間でも構わないので、反応を引き出す。
- 学びを整理し、次の仮説につなげる
「どこに共感があったか」「どこに違和感があったか」を明確にして次に活かす。
このサイクルを繰り返すことで、机上の議論よりもはるかに早く精度を高められます。
注意すべき落とし穴
一方で、プロトタイピングにも注意点があります。
それは「作ること自体が目的化してしまう」ことです。
完成度を高めることに時間やリソースをかけすぎると、本来の目的である検証が後回しになります。
あくまで「顧客や関係者から学びを得るための道具」として割り切る姿勢が大切です。
まとめ:プロトタイピングは、新規事業を前進させる対話のツール
新規事業の立ち上げにおいて、プロトタイピングは正解を見つける方法ではなく、不確実な中で次の一歩を見つける方法です。
小さな形でもよいので早く作り、早く見せ、早く学ぶ。この姿勢が結果的に事業を加速させます。
エナジャイズでは、新規事業担当者がプロトタイピングを取り入れやすくするための検証設計や社内共有の支援も行っています。
アイデアをどう形にし、どう学びにつなげるかに悩まれた際は、ぜひご相談ください。
販売戦略の立て方に不安がある方や、新規事業の進め方でお悩みの方へ——
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株式会社エナジャイズ代表取締役岡崎 史
プロフィール
大学卒業後、大手飲料グループを経て、40事業を超える新規事業の立ち上げを経験。その経験を活かし、2022年、PMFと顧客開拓を同時に実現する『PMFプログラム』を開発。
徹底的に顧客視点に立つ独自の手法で、年間2,000社の新規商談を生み出すなど新規事業推進のスペシャリスト。
大企業を中心に伴走支援、研修、講演等実績多数。